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Channel: 宮田マスターのGERSHWINレポート
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北の夏が始まった

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昨日7月8日(月)の札幌の気温は33.1℃あったそうだ。この時期の気温としては百数十年ぶりの気温らしい。この数日で突然夏がやってきた印象だ。7月8日といえば僕が37年前ケーシー・ジョーンズというカフェ&バーを始めた日でもある。あの夏も結構暑かった記憶があるが、あの頃夏と言えばまず海だった。店のお客さんたちと繰り出した。海へ行く車で聴くバック・グラウンド音楽も重要だった。みな競い合って夏の音楽テープを作った。Photo_3
今でも初期のイーグルスやネッド・ドヘニー、クリストファー・クロスなどを聴くとあの頃の情景が目に浮かぶ。

Photo_2
「ビッグ・ウエンズデイ}というサーフィン青春米国映画を観たのもそんな夏だったように記憶する。夏の映画は冷房が利いて気持ち良かった。まずいソフト・クリームも懐かしい。そこで流れていたシレルスの「WILL YOU LOVE ME TOMORROW」が印象的だった。あのズンチャカズンチャリズムも当時はさほど古臭さを感じなかった。

このところ昔の音楽家のコンピレイション(編集もの)アルバムがずいぶん安価で出回っていて、ヨーロッパのNOT NOWレーベルのものは2枚組¥700,3枚組¥900で買えてしまう。ずいぶん買い込んでしまったが、シレルスのものは聴きごたえがあった。「WILL YOU・・」をかいたキャロル・キングの1962年までの作曲家としての作品集アルバムもNOT NOWで購入した。「WILL YOU・・」には数々のアンサーソングが生まれている。このアルバムでも男性歌手が歌う「WILL YOU・・」の歌詞だけを変えた「NOT JUST TOMORROW BUT ALWAYS」という曲が聴ける。

宮田あやこのデビューアルバムに「NORTHERN SUMMER」という曲があって、曲を久保田麻琴さんが書き演奏は夕焼け楽団+谷口邦夫(ペダルスチール,細野晴臣「ぽんぽん蒸気」でも印象的なプレーありましたね)。久保田さんらしく南国情緒漂うリラックスミュージックだったのだけど、この歌詞を宮田あやこ自身で書きなさいとプロデューサーから命が下った。なかなか歌詞のアイデは浮かばなかったのだが、積丹半島にあるイリカという絶景の入江の海への一泊旅行で突然ひらめいた。「WILL YOU・・」が頭に浮かび(海が舞台のビッグ・ウエンズデイのイメージも重なったのだろう)、アンサーソングのような内容になった。


「WILL YOU LOVE ME TOMORROW」はキャロル・キングが18歳の時に書いた初の大ヒット作品で、これは永遠の宝物?それともひと時の快楽?あなたの瞳の光は明日も輝いているのかしら?と恋した少女が相手に身をを捧げる時の不安を歌にしたものである(キャロル・キング自伝より)。歌詞はもっとシンプルなものとしても読めるが、そこまでの意味があったからこそキャロル・キングはのちに「つづれ織り」というアルバムでセルフカヴァーをしたのだろう。歌詞は夫のゲリー・ゴフィンが書いたというのも驚きだが。

あやこの「NORTHERN SUMMER」は「流れる星はかなく消えていくように ひと時の光でいいの たとえ明日に あなたの愛が 見えなくとも怖くはないの」とうたわれる。あの頃の20代の女性が書くとこういう風になる。


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